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大型Ustream放送が復活した東京工科大学会場

GGJの日本における聖地として知られる東京工科大学会場。昨年は180名近くの参加者を集め、日本の大型会場として世界的にも注目されました。今年はプロ参加者が都内で分散した結果、約80名の規模に縮小しましたが、「48時間ガチで開発できるなど、GGJ本来の雰囲気が保たれている」という点は健在で、学生を中心に和気あいあいとした雰囲気で開発が進んでいました(大学が八王子の山の中で周りに何もないという点も、浮世離れした雰囲気が醸しだされていて、本会場ならではです)。歴史ある会場だけに公式サイトには豊富な情報が蓄積されています。

IMG_0385東京工科大学会場のもう一つの特徴が学生を中心に組織される大規模Ustream番組。その伝説は2011年から始まったといってもいいでしょう。ゲームアナリストの平林久和氏がゲスト参加して、深夜までぶっちゃけトークが繰り広げられると、それを見ていたゲームクリエイターの水口哲也氏がNHKの取材クルーを連れて視察に参加。後にユニティの中の人になる大前広樹さんや、今年バンダイナムコ会場を立ち上げた湊和久さんら、プロのゲーム開発者も完成作品のプレゼンなどをUstreamで行いました。Ustreamといえば開発風景のダダ漏れ配信が主流だった中で、こうした番組形式で配信した例は世界でも珍しく、かなり注目を集めました。そして、この時のノウハウやコミュニティがそのまま引き継がれる形で、約半年後に東北ITコンセプト 福島Gamejamがスタートすることになるのです。

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残念ながら2013、2014年は学生の入れ替わりと共に大型番組配信は途絶えていましたが、今年ついに復活しました。教室をつぶして設置された簡易スタジオは手作りながら非常にすばらしいもので、カメラのスイッチングやマイクのミキシングなども行われ、配信内容もすばらしいの一言。自分も飛び入りでトーク参加させていただきました。他に運営責任者の三上浩司先生と、神奈川工科大学の白井暁彦先生による特別対談など、数々のコンテンツが配信されたようです。Youtubeにはαやβ版、最終発表などの模様がアップされていますので、ぜひチェックしてみてください。

Skypeを活用して管理運営する大阪会場

GGJの会場運営者にとって、参加者への連絡事項の伝達は見過ごされがちな一方で、しばしばクリティカルな問題に発生する可能性がある、けっこうめんどくさい事柄の一つです。要所、要所で会場運営者が肉声で指示を出したり、時には(バンダイナムコ会場のように)拡声器が出動したりと、会場によってさまざまだと思いますが、大阪会場ではスカイプによる一元管理で効率化を図っていました。

IMG_0476スカイプには参加者全員が登録する全体向けのスレッドと、チーム単位で登録するチームスレッドがあります。このうち全体向けのスレッドには運営責任者から連絡事項が書き込まれ、チームリーダーは必ずこの内容をチェックしてチームメンバーに伝達することが義務付けられています。一方でチームスレッドには企画会議や進捗状態などがチームリーダーによって逐一書き込まれ、メンバー間および運営責任者と共有されます。このようにルール化することで、常に最新情報がわかるようになっているのです。

osakaこのような情報共有のルールが生まれたのは、大阪会場が2011年に会場不定のノマド会場としてスタートしたという背景にあります。開会式と企画会議こそ、皆で集まってささやかに行われたものの、実際の開発はネット上で情報を共有しながら行われました。その時のノウハウが毎年洗練されていった結果、このような国内でもまれに見る情報伝達システムが整備されたというわけです。

また、これに加えて大阪会場ではインスタントカメラのチェキで参加者のポラロイド写真が撮影され、ホワイトボードにはられてチーム編成が発表されていました。初顔合わせの多いGGJでは、会場全体で参加者同士の顔と名前が一致しないまま最後まで終了してしまうことも少なくありません。そうした中で、この試みは非常におもしろいと感じました。次年度、余裕があれば試してみてはいかがでしょうか?

 

ワークショップとチームビルディングを融合させた福岡会場

沖縄会場のエントリでは企画会議がワークショップ形式で行われた模様を紹介しました。これをさらに推し進めて、チームビルディングまでワークショップに組み入れたのが福岡会場です。やり方は下記のとおりで、冒頭3時間程度を費やして実施されました。

  1. 一人一枚ずつキーワードシートを配布して、テーマから連想されるキーワードをシートに埋めていく。
  2. キーワードシートを参考にして、簡単な企画シートを作成する。これも各自が全員で行う。
  3. 自分の企画のショートプレゼンテーションを行う。
  4. 企画シートをならべて全員で投票し、順位をつける。
  5. 順位の高かった企画シートに加えて、どうしても自分の企画を実現したい人や、運営側の推薦企画を一堂に並べて、「この指とまれ」方式でチームメンバーを募る。
  6. 各々のメンバー数などを調整してチーム決めを確定する。
  7. 企画シートをもとに内容整理シートを作成し、開発スタート。

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通常チームビルディングは事前の申し込みアンケート等をみて、運営側があらかじめ決定しておき、当日に発表するやり方が一般的です。しかし、このやり方は自分たちの立てた企画を元に、いわば人気投票で企画とチームビルディングを行うという、非常にラジカルなもの。ちなみに、これができたのも参加者がほぼ全員、プログラマーだったという会場の特殊性もありました。

また福岡会場ではチームごとにリーダーとマネージャーを決め、連絡事項やスケジュール管理、見学者へのゲーム説明などは、すべてマネージャの仕事とされていました。以前はリーダーが兼任していましたが、ゲーム開発に集中させたいということで、この形式になったそうです。自分もいろいろと説明してもらいました。

結成されたチームは5つで、うち1つはアナログゲームを制作。オキュラスを用いたゲームや、Photonを用いてMMOゲームに挑戦したチームもありました。また音ゲーが2つ開発されていた点も印象的でした。

GGJ福岡会場はIGDA福岡によって主催されており、チャプターリーダーをつとめる金子晃介さんは日本の全会場を束ねるリージョナルコーディネーターでもあります。というのも金子さんはオランダ留学中に偶然GGJに出会い、現地の会場で参加したことがあるほど。この取り組みを日本でも知らしめたいと、帰国後にIGDA福岡を立ち上げてGGJ2011から福岡会場をスタートさせました。その先進的な取り組みに対して高島総一朗・福岡市長がアポなしで視察に訪れ、新聞で大々的に取り上げられたほど。いわば日本のGGJの牽引者の一人でもあります。

金子さんは「GGJでは毎年、いろいろやり方を変えて実施しています。このようなワークショップを開催したのは今回が初めてでしたが、今後もいろいろと工夫をこらして、もりあげていきたいですね」と話していました。

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IGDA琉球大学が主催した沖縄会場

GGJの会場設立には「既存のコミュニティがあり、普段の活動の流れで開催した」パターン(札幌会場のKawaz)と、「誰かが思い立って開催をぶちあげた(多くがこちら)」パターンがあります。後者だと一過性のイベントになりがちなので、できれば前者のようにGGJをきっかけとして、コミュニティ活動へと進んでいければいいですよね。まさにその方向に進もうとしているのが沖縄会場です。

会場を主催したのはIGDA琉球大学のメンバーです。IGDAにはプロフェッショナルがチャプターリーダーをつとめる地域支部(IGDA日本など)と、大学単位で設立され、学生によって運営が行われるアカデミック支部があり、IGDA琉球大学は後者のパターン。GGJを大学で開催することを目的の一つとして、同大学の大学院生らにより、2014年に設立されました。

参加者数は49名で、琉球大学の学生に加えて沖縄国際大学、県立芸大、KBC、IDAの両専門学校からも参加。一人だけでしたが美来工科高校の高校生も参加しました。さらに県内だけでなく内地からのプロのゲーム開発者も参加。ユニティからも2名のスタッフが技術サポートに訪れました。特に学生中心ということで参加者層が全体的に若く、半分以上がGGJ初心者! また芸大や専門学校生も加わり、グラフィッカー(そして女子)率が他の会場に比べて高かったのも印象的でした。もう一つ、沖縄会場では冒頭でユニティの発案により、企画会議を兼ねたアイディアソンも行われました。アイディアソンの概要は下記の通りです(詳細はスライドを参照

  1. アイディアシートにテーマに即したキーワードをチームで記入
  2. 他のチームのメンバーとアイデアシートを交換しながら感想を聞く
  3. 感想をもとにチームでディスカッションし、企画シートを作成
  4. 企画シートを集めて参加者全員で投票を行い、それを参考にしながら各チームでゲームを開発」というものです。

s1 s2ふつう、GGJではテーマに即して企画会議を行うところから開発がスタートします。しかし、ゲームジャム初心者が多い場合は、なかなか企画が絞り切れない場合が多いのも事実。こういったアイディアソンと組み合わせて運営するというのも、一つんもアイディアかもしれません(同じような取り組みは福岡会場でも行われていました。これについては別のエントリで紹介します)。

IGDA琉球大学はこれからもゲームジャムや勉強会を開催していって、学生の立場からプロと交流できる機会を増やしていきたいと語っていました。一方でプロの開発者からは「通常業務が忙しすぎて、コミュニティの運営まで手が回らないため、学生中心で回してもらえれば嬉しいし、サポートは行っていきたい」という声も聞かれました。ぜひ、ますます活動が活性化することを期待しています!

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日本最良の環境を誇るゼンリンお台場会場

国内19会場の中でも、おそらく最良の施設を誇るのが、お台場テレコムセンター駅直結のコワーキングスペース「MONO」に設置された、お台場ゼンリン会場です。

自分も昨年度に運営スタッフとして常駐しましたが、地上14階からの眺望は最高。特に夜景や朝焼けの風景は一見の価値あり、です。会場は広くて清潔、仮眠室やシャワールームまで完備されています。さらに徒歩圏内に温泉(大江戸温泉物語)も存在するなど、もう至れり尽くせり。昨年参加して、あまりの会場立地の良さに、連続参加した人も多かったのではないでしょうか?

また今年はゼンリンさんだけでなく、日本マイクロソフトさんも運営サポートに入り、プログラミング生放送さんの強力で、ニコニコ生放送の特別番組が配信されました。大物クリエイターを呼んでのトークイベントも行われ、非常にもりあがったようです。こんな風に会社やコミュニティの枠を超えて盛り上げていただいたのは、たいへん素晴らしかったですね! 本会場に限らず、今年は企業からの有形・無形のご協力をいただけましたが、その最右翼だったように思います。

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天井の高さが印象的〜バンダイナムコ会場

今年からGGJに参入したバンダイナムコ会場。なかなか適した場所が社内になく、カフェ(社員食堂)を会場にしたとの話でしたが、これが思いのほかリラックスした雰囲気を作り出すことに成功していました。要因の一つが天井の高さで、通常の開発ルームよりぐっと高かったのです。やはり天井が高いと開放感があり、リラックスできますね。

参加者はプロのゲーム開発者の割合が多く、学生が各チームに1−2名ほど交じる程度でしたが、これが思わぬ弊害を有むこともあったようです。というのも各社でゲーム開発の専門用語の意味が違っていることわかり、すり合わせに時間がかかるシーンもあったとのこと。ゲームジャムのメリットの一つに、自分の開発スキルや開発環境を相対的に感じられるところがありますが、まさにその好例だったようです。

全14チームのうち、ユニティを使ったチームが12チーム、アンリアルエンジンを使ったチームが2作みられました。また視線入力デバイスのトビー・テクノロジーズが機材協力を行い、このデバイスを用いたゲームも2作ありました。1作がUnity向け、もう1作がUnreal Engine向けで、実際にどんなゲームが登場するのか楽しみ。ボーンデジタルさんによる技術書をバーっと並べたコーナーもあり、本を片手に開発するシーンもみられました。

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国内Ustream会場リスト

国内でUstream配信を実施中です。番組風に行っているものもありますので、ぜひチェックしてみてください。

東京工科大 http://www.ustream.tv/channel/ggj2015-tut

Broadcast live streaming video on Ustream
厚木 http://www.ustream.tv/channel/shohoku-media

Broadcast live streaming video on Ustream
武蔵野 http://www.ustream.tv/channel/globalgamejam2015atpicos

Broadcast live streaming video on Ustream
福島 http://www.ustream.tv/channel/global-game-jam-fukushima-2015

Broadcast live streaming video on Ustream
軽井沢 http://www.ustream.tv/・・・/%E5%8B%9D%E6%89%8B%E3%81%AB-nii・・・
立命館 http://www.ustream.tv/channel/ggj2015-ritsumeikan

Broadcast live streaming video on Ustream
IGDA日本公式USTREAM http://www.ustream.tv/channel/igda-jp-ustream

Broadcast live streaming video on Ustream
京都会場 http://www.twitch.tv/sagzorz
Watch live video from sagzorz on www.twitch.tv
名古屋 http://www.ustream.tv/channel/ggj2015nagoya

Broadcast live streaming video on Ustream
大阪会場 http://goo.gl/u1Fb51

Broadcast live streaming video on Ustream
IGDA東北 http://www.ustream.tv/channel/global-game-jam-fukushima-2015

Broadcast live streaming video on Ustream

国内最大会場、札幌

ゲーム開発者コミュニティのKawazを中心に、ギュギュッとまとまっているGGJ札幌会場。例年、国内最大規模をほこる東京工科大学会場がバンダイナムコ会場と参加者数をわけあった結果、なんと今年は国内最大規模の会場となりました。

IMG_0241札幌会場の特徴は80名以上の参加者を数えるにもかかわらず、学生メンバーが主体で会場運営を行っていること。Kawazの伝統なのか、代々2名の学生が会場を引っ張っているそうです。Kawazにはふだんからプロやゲーム業界以外のメンバーも参加してゲームを作っており、その縁から会場の専門学校も借りられたとのこと。札幌を中心にギュッとプロ・アマ融合のコミュニティができていて、いや~羨ましいですね。外は寒いですが中は暑いです。

札幌会場の特徴は80名以上の参加者を数えるにもかかわらず、学生メンバーが主体で会場運営を行っていること。Kawazの伝統なのか、代々2名の学生が会場を引っ張っているそうです。Kawazにはふだんからプロやゲーム業界以外のメンバーも参加してゲームを作っており、その縁から会場の専門学校も借りられたとのこと。札幌を中心にギュッとプロ・アマ融合のコミュニティができていて、いや~羨ましいですね。外は寒いですが中は暑いです。

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また徹夜OKで48時間ギューッと連続して開発できること、途中に中間発表などの「余計な」イベントがないのも特徴です。「みんな、それどころじゃない。がーっと集中して作りたい」んだとか。(GGJにしては)大作ゲームに挑むチームも多く、たいてい時間が足りなくなるそうです。

参加者属性が多様で、プログラマだけでなく、アーティストやサウンドの参加者が多いのも特徴。職歴も3割がガチプロ、2割がイラストレイターなどゲーム業界外のコンテンツ制作者、2割がITエンジニアなど異業種、3割が学生と理想的な感じ。差し入れをもって見学に来た専門学校の卒業生も見られました。どんなゲームができるのか楽しみです!

付記:GGJ2014で運営リーダーだった「cocos2d-xではじめるスマートフォンゲーム開発 [cocos2d-x Ver.3対応] for iOS/Android 」が絶賛出版中。本人による執筆時の裏話などはこちら。

GGJ札幌会場への道

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成田から札幌に始発便で到着。東京の人間にとっては異次元の寒さ! バスで新千歳空港から札幌市内に向かいます。凍えそう&滑りそう。

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ただし、お寿司の美味さは格別ですね〜。すすきのの寿司屋で海鮮丼を堪能。これに茶碗蒸しとお椀がついて980円! 素晴らしい。

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やっとこさ札幌会場につきました。外は寒いですが中は盛り上がっています! 気がつけば日本最大の会場になってしまいました。